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待望のインスリン吸入療法

2002.12.7


 いまアメリカではインスリン吸入療法の治験(第三相試験)が終わろうとしています。次はアメリカ厚生省(NIH)が認可すると製薬メーカーは直ちに大量生産に入ります。世界ではアメリカ(アベンティス社)とデンマーク(ノボ社)が開発し、動物実験を終えヒトに試験している段階です。おそらく来年中には日本でも治験が始まり、インスリン治療中の患者さんに楽しみな話題となるでしょう。

 インスリンは1921年に発見され、注射薬剤として改良されて今日の超速効型製剤に至っています。他方、インスリンの体内投与はこれ迄注射法以外の投与の研究され内服剤、吸入剤、坐剤が研究されています。その中で吸入法は一九二五年から研究され  段階までこぎつけました。吸入法が他方法と比べ有利な点は、吸入によるインスリンの体内吸収がよいことです。肺胞からのインスリン吸収率はインスリン注射の皮下吸収よりも早く、吸入10分後から血中濃度上がってきます。吸収が早くなる理由の一つは、人間の  に係る空気のガス交換は肺胞でなされていますが、全肺胞のべ面積が143  もあるので血中インスリン濃度をいっきに高めるには好都合です。

 もう一つは、インスリン分子の大きさは消化管粘膜からは透過できません。1型糖尿病の患者さんに3ヶ月間ダ試みたスカイラ−(アメリカ)の成績ではヘモグロビンA1cの低下はインスリンの効果と同じでした。また低血糖の頻度もインスリン注射と変わりありません。一回の吸入でインスリン3単位が体内に入るので、必要インスリン量によって吸入回数を増やします。2型糖尿病でも別に報告されていますが、その効果はインスリン注射とほとんど同じ位といっています。

 患者さんの受け入れは、当然ですがインスリン注射よりも良いです。
しかしこの方法が治療に100%満足されない2,3の問題があります。ひとつは気道、呼吸器系統に障害のある患者さんの使用です。鼻 気道アレルギー、急性、慢性の肺疾患を罹っている人の利用はむつかしいと思います。また写真に示しているように、吸入器が大きすぎて携帯が不便です。この方法で使われているインスリンは超速効型インスリンで、一日3回毎食前に注射している人に限られます。21世紀の科学の進歩は極めて早いですから、これらの問題は直ちに解決されると思います。

 

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