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「糖尿病教育入院」から「外来糖尿病教室」へ

 

2003.10.15
 日本初めての糖尿病教育入院は昭和38年に東京都済生会中央病院の堀内光先生がおこないました。その後国立大学病院でも始められ、北海道では北大病院が昭和53年頃初めて私共の北大第二内科で取り入れました。しかし当時はまだ糖尿病患者数も多くなく、まして教育入院を希望する人も僅かでした。その運営も円滑に進まなかったため、約一年足らずで廃止となりました。その後、道内では教育入院を試みる病院がなく、昭和56年に私共の病院が道内初めての糖尿病専門病院を開設し、同年11月から糖尿病教育入院制度をスタートさせました。丁度今年で22年になります。この間、多くの患者さんに接し、患者さんそれぞれの異なる病状、生活の過ごし方、考え方、生活環境に応じてお話し、指導してきました。

 教育入院された方は一度も教育を受けたことのない方と比べ、血糖コントロールが良くそれが持続するように思います。糖尿病をよく知り、糖尿病とほど良い付き合い方を覚えると、良い病状で自信を持って生活できるものです。教育入院は日本国内の糖尿病専門病院でなくても、一般病院でも取り入れているほど、糖尿病治療の基本であり必要なものです。

 それを敢えて取りやめて糖尿病教室のやり方に変えるのに二つの大きな理由があります。ひとつは日本の糖尿病患者数が年間10万人ずつ増加しており(平成9年690万人、平成14年740万人)糖尿病教育は入院患者さんばかりでなく多くの外来患者さん及びその家族にも広く教育、啓蒙する必要があると考えました。もうひとつは、最近は入院患者さんは入院期間を短く希望される人が多く、教育プログラムを総て終了しないで退院される人が少なくないからです。少数の入院患者さんに充分な教育指導をすることは理想的な教育方法ですが、その他の多数の患者さんの教育が不十分なことは病院全体の診療レベルが高いとは言えません。

 アメリカでも9年前から教育入院をとりやめ、外来通院による糖尿病教室方法に切り替わりました。外来「糖尿病教室」がいかに血糖コントロールを改善し、合併症防止、医療費削減につながるかは今後の患者さんの病状を詳細にみていく必要があります。新患および通院患者さんは糖尿病教室に数多いテーマをそろえましたので、ご自分で詳しく知りたい、分からないテーマを2、3選んで聴講するようにしてください。また、外来ホールの糖尿病教室パネルはもう少しの時間がかかりますので、詳細は看護師よりパンフレットをもらってください。