<戻る

ヘモグロビンA1cを改善させる
鍵となる血糖値はなにか?

2005.9.12

  へモグロビンA1cA1cと略します)は血管合併症の発病と深い関係のあることは既にご存知と思います。A1c0.1%から1.0%の上り下がりに世界中の患者さんは一喜一憂していることはどこの国でも同じです。日常の診療で「A1cが何%上がったから血糖値に気をつけて下さい」とか「食後の血糖値が高いから食べ物を抑えて下さい」と医療者はいとも簡単に話します。しかし患者側からみてA1c0.1から1.0%改善するために日常生活の工夫でいとも簡単に達成されるものでないことをよく経験しています。病院に入院すると1ヶ月で平均1.0から1.5%位低下しますが、外来通院では生活事情の個人差があり一概にいえません。しかし例え0.1%の改善でも、それは患者さんの努力の賜物と考えます。

  ヘモグロビンA1cは過去1ヶ月から2ヶ月間の平均血糖値を示すと一般に言われています。もっと正確に言えば4ヶ月間(120日)の平均血糖値を示します。その理由はヘモグロビン(血色素)は赤血球中に存在し血液中のブドウ糖の濃度に応じてヘモグロビンA1c(安定型)ができます。赤血球の寿命は120日で自然消滅し、その間に新しい赤血球が誕生し新しいヘモグロビンA1cができ上がります。4ヶ月間のブドウ糖が少しずつヘモグロビンに結合していきますが、その生成される過程を細かく人間で調べた報告はまだ見たことがありません。理論的計算で調べるとA1c値の50%は最近一カ月間の平均血糖値で決まり、残りの25%は過去1ヶ月から2ヶ月間の平均血糖値、さらに残りの25%は過去2ヶ月から4ヶ月間の平均血糖値で生成されるといっています(田原保宏先生)。

  A1cは過去2ヶ月間の平均血糖値を示すと仮定して、当病院患者さんで調べるとA1c62.4%は最近1ヶ月間の血糖値が関係していることが分かりました。           

 

  さらにA1cの生成は複雑なところがあり、血糖値が高いとA1cは多くなりますがそれまでに時間がかかります。昨日と今日の飲んだり食べたりした結果は直ぐに出ないし、血糖値が下ってきている時も直ちにA1cに結果はでません。

  次の課題としてA1c値は過去1ヶ月から2ヶ月間の平均血糖値を示すといいますが、平均血糖値はどうすれば分かるか、推測できるかが問題です。海外には24時間持続血糖測定器がありますが、2ヶ月間の持続血糖測定はできません。最近の海外の報告をみると朝食前血糖とA1cはよく相関するとか、昼食前後から午後の血糖値とか、日内血糖変動総ての血糖値とよい相関を示すといわれています。当院の調査では3食後の平均血糖値より、これに朝食前血糖値を加えた平均血糖値とA1cはよく相関することが分かりました。この一日4回の血糖測定をみると、A1c7.0%にするには4回の平均血糖値が120mg/dl6.5%にするには95mg/dlとなる必要があります。さらにA1cが悪化していく時に大きく寄与する血糖は朝食前と昼食後血糖値であることがわかりました。

  これらの研究はまだ中間報告程度のものです。さらに研究を進めていくために皆さんの自己血糖測定値を教えて頂きたいと思います。ご協力お願い致します。