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どうして長野県は日本一の長寿県なのか

2008.11.17

最近報道された日本人の平均寿命は男性79.19才、女性85.99才で女性は世界第1位、男性は世界第3位です。因に世界第2位は男女共香港です。

日本と都道府県別に長寿県をみると男性第1位は長野県、女性第1位は沖縄県です。沖縄県男性はかなり下へ落ちますが、長野県の女性は第3位になります。従って長野県は全国一の長寿県といってもいいでしょう。

では長野県で生活するとどうして長生きするのでしょうか。いま流行の遺伝子説で片つけるとそれまでの話で終わりますが、長生きするなりの基礎造りが県全体にあるからです。豊かな自然環境に加えて、長野県の医療行政、各自治体の健康つくりの取り組み、積極的な医療政策、県民の健康意識向上にによるものです。具体的にどうゆうことをやっているかを調べてみました。その一部は当院通院中の長野県出身の糖尿病患者さんから伺ったことも含まれています。

まず長生きしているから医療費が高いだろうと思いますが、総てが全く逆です。16年間連続して一人当りの医療費は全国で最小となっています。従って入院件数、外来件数、入院日数も全国最下位または下位に位置しています。また医療体制をみると医師数、病院数、病床数もみな最下位ちかくになっています。このような状況であれば医療費のかからないことはよく分かります。

次に高齢者の生活事情をみると、持ち家比率が高く、離婚率が低いので高齢者の一人暮らしが少ないことになります。さらに在室死亡率は全国第3位で幸せな死に方ですが、一方で訪問看護件数は全国です。

長野県人は働き者で高齢者の就業率が高く、農業を中心に65才以上の30%が現役で働いています。女性に限っては就業率51.6%で全国第2位です。死ぬ際まで働きましょうと「ピンピン コロリ」を合い言葉にしています。

食生活に関しては「食生活改善委員会」があり、県民減塩運動をを企画し米飯をすすめ、肉よりも魚、大豆製品、自家製野菜を奨めています。基本的には糖尿病食に近いやり方で食事しています。長野県は内陸に位置していますから山河が豊かで信濃川、天竜川、木曽川、利根川を往来する川魚と野菜が豊富でまさに地産地消で表1、表3、表6をまかなっています。面白いことに沖縄県と同様に豚肉を好み、牛肉はあまり食べない習慣があるようです。

日本人の死亡原因の第1地位は癌です。癌死亡率がもう少し減少すると日本人の平均寿命は90才台となるでしょう。