<戻る

 家庭における24時間持続血糖測定

      

2009.11.25

糖尿病の病態は基本的に血糖が高くなる病気ですが、高血糖になっても症状はありません。症状がないからといって高血糖を気にとめず生活していると次第に合併症が出はじめ、それが進行して行きます。ですから「たかが高血糖、されど高血糖」で血糖値を無視して生活していくわけにはいきません。

45年前に患者さんが自由に血糖を調べることができる試験紙が開発されました。尿糖を測る試験紙と同様に試験紙に自分の血液をつけて水洗いして反応色を見比べるやり方でした。それが時代と共に進歩して簡単な測定器で血糖値が表示されるようになりました。これを自己血糖測定(SMBG)といいます。そして10年前から72時間継続して血糖を2〜3分毎に測定する測定器が開発されました。

これは自己血糖測定器ではなく、MiniMed Paradigm<span class=病院で測定器をとりつけるもので、心臓病の人がホルター心電計を医療機関でとりつけてもらい24時間心電図を調べる検査と同じ要領といえます。この持続血糖測定器(CGH)は日本で数ヶ所の病院で試みていますが、外国製で国内販売はしておりません。欧米から購入し測定器の維持管理も海外代理店に頼まなければなりません。しかし、それなりに1日血糖値をみて新しいことが分かってきました。

正常者を調べたデータをみますと、1日平均血糖値は98(54〜147)mg/dlで、食後の最高血糖値は食後45分頃であることが分かりました。糖尿病患者さんのデータは調査中でもう少し時間を要します。海外の報告をみると朝明け方に無意識の低血糖がよくみられるようです。また、ヘモグロビンA1cが6.5%でも24時間持続血糖測定値をみると、血糖値の上がり下がり(血糖値幅の変動)の激しい人のいることも分かりました。糖尿病患者さんそれぞれの個性があるように、24時間血糖をみると1日の血糖値の流れに特徴がありそれぞれに個性があるようです。糖尿病の診療には、これらの血糖値をみて内服薬やインスリンの種類や投与量を決めていく必要があります。

 話は変りますが、インスリン治療のやり方の1つにインスリン持続注入ボンプがあります。装着インスリン注入器からインスリンが少しづつ体内に持続注入していきます。これ迄の注入器は1日の食前後血糖を調べてインスリン注入量を決めていきます。刻々と変化する血糖値をみながらインスリン注入量を決めているわけではありません。そこで持続血糖測定器と持続インスリン注入ポンプを合体させて測定された血糖値に応じてインスリン注入させるやり方です。最近のもの(Paradigm Veo, Medtronic社製品)は2つの機器を身体に装着し、測定器の血糖値を電波に変えて持続注入ポンプでとらえてインスリン注入量を決めるやり方です。注入ポンプには低血糖と高血糖になる時には予知アラームがついて患者に教えてくれます。人間の膵B細胞の働き以上の仕組みになっています。

■詳細は下記から

Paradigm Veo, Medtronic社のページへ