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  「糖尿病患者さんの足を守る」フットケア

2008.3.18

                外来看護師 小針 悦子

■このところ街などで「フットケア」という言葉を目にしたり、聞いたりするようになってきたと思います。今回は、エステサロンではなく医療的な「フットケア」についてお話します。

糖尿病患者さんに起こる足潰瘍や壊疽(血の流れや痛みが無くなり黒く腐った状態)を足病変といいます。足病変は、糖尿病合併症の一つですが三大合併症や動脈硬化ほど知られていません。

足を糖尿病と切り離して考える方がいますが、糖尿病の一部ですから患者さんは全身をみないといけないということです。糖尿病になって長い方や血糖コントロールの悪い方は、合併症が進行している可能性が高いので注意が必要です。

■それでは、潰瘍や壊疽はどのようになってできるのでしょうか?

血糖が高いことによって感染による抵抗力の低下で炎症を起こしたり、化膿しやすい状態になります。糖尿病性神経障害が出てくると痛みや感覚がなく異常があっても分からない。また動脈硬化により血の流れが悪くなり、傷を治りずらくして潰瘍や壊疽に成りやすい状態になります。従ってウオノメ・タコ・水虫・やけど・靴ずれ・爪切りの失敗などを早く処置しないと急速に悪くしてしまうことが多くなります。最悪の場合は、壊疽となり切断しなければなりません。不幸なケースとしては整形外科で足切断を知らされた時に、はじめて糖尿病と診断される方がいます。

発症すると治療するための時間とお金がかかります。足病変は予防することによってならないで済む合併症でもあります。大事なことは、患者さん自身が足を大切に思い気を付けて生活することです。

■当院では、患者さんの足を守るという予防目的で毎週水曜日9時〜16時まで予約制で「フットケア外来」を行っています。糖尿病性神経障害や血流障害の検査後、タコを削ったり・変形している爪切り・水虫による潰瘍の処置また足浴をしながら洗い方の指導等、患者さんに必要なフットケアを行っています。患者さん達は足壊疽という言葉は知っていましたが、原因を知らない方が多かったので気になっているところです。

■それでは、H20年10月〜H21年1月までにフットケア外来に来られた89人の患者さんの足状況と日常生活で注意していくために参考になるケースを紹介します。

最も多かった順に

1.乾燥→ひび割れ 37人  2.タコ 27人  3.水虫 25人

4.巻き爪   5.ウオノメ  6.爪の変形  7.潰瘍・壊疽となっています。

症例1・・・50代男性 ヘモグロビンエーワンシー10%  

糖尿病性神経障害で足に痛みを感じない状態になっていました。 水虫で皮膚がむけだし手でむしったり、ハサミで切って傷ができたことが原因で壊疽になりました。

症例2・・・60代女性 ヘモグロビンエーワンシー7.0%  

歩くことが多い職業のため両足の裏にタコが15ヵ所以上にもなっていました。 歩くと痛いことから3ヶ月おきにカミソリで削っていたそうです。幸い大事に至りませんでしたがとても危険な行為です。

症例3・・・70代男性 ヘモグロビンエーワンシー6%

糖尿病性神経障害のため、ひどく冷えるので膝下をヒーターで温めそれが原因でやけどとなりました。しかし、痛みにも鈍い状態でしたので病院に来て看護師に発見されるまでわからず一部潰瘍状態となっていました。  

以上のことから、患者さんは血糖コントロールを良くしながら足の手入れをして異常の早期発見と対応をすることが重要です。

そのために、足のトラブルが無く血糖コントロールの良い方々も含めて年に1回は、糖尿病性神経障害の検査や血流検査を受けて下さい。

最後に患者さんができるフットケアについて           

1 毎日 足を見る。

2 爪は、まっすぐに切る。

3 足をきれいにして清潔な靴下を履く。

4 素足で歩かない。

5 煙草はやめる。

さぁ、みなさんも今日からやりましょう!