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女性が男性より長生きするのは何故か

2009.8.14

厚生労働省が昨年度の日本人の平均寿命を公示しました。それによると女性が86.05歳、男性79.29歳と男女とも過去最高の更新となり、女性は世界一、男性は4位となっています。

しかしどうして女性が長生きするのでしょうか。これは日本に限ったことではなく世界中でも女性が長生きすると報告されています。この問題について最近慶応義塾大学老年内科の新井泰通先生、広瀬信義先生の解説があったのでお話します。

年齢別の長生き人口比率を男性、女性で調べています。男性の1に対し、女性の比率は65歳で1.8 倍、75歳で1.25倍、85歳で2.12倍、100歳で5,16倍、105歳で9.05倍と高齢になるほど女性の長生きが多くなります。この男女差について3つの理由を述べています。

 

1疾患、機能からみた男女差

東京地区の100歳以上の高齢者(百寿者)の調査結果では女性百寿者は男性百寿者と比べ脳血管疾患が少なく、癌も少ない、骨折が多い特徴があります。しかし日常生活の活動度や認知機能は男性のほうが明らかに優れている結果がでています。それでも女性の方が長生きしているということは、女性のほうが加齢に伴う機能低下に対して適応力が大きいといえます。

2 ホルモンの男女差

エストロゲン(卵胞ホルモン)は女性を心疾患や脳卒中から守り、動脈硬化性疾患を遅くすると言われています。もうひとつは脂肪細胞から分泌されるアテイポネクチンです。これは糖尿病、動脈硬化を防止する作用がありますが、百寿者では血中アデイポネクチン濃度が一般に高くとくに女性が男性に比べ高いといわれています。どうもアデイポネクチン説が有力なようです。

3 生活習慣の差

喫煙は同世代高齢者と比べ百寿者の喫煙率は半分以下となっています。特に女性では低いです。飲酒は同世代と比べほぼ同じです。

男性百寿者の特徴は高学歴の割合が大きく、几帳面で細かいことによく気が回り体調のわずかな変化でも医師に相談するのが多いようです。

一方女性百寿者は意志が強く、活動的で、社交的で介護を受けても素直で、協力的であるのが特徴です。

まとめますと女性が男性より長生きするのは何事もこだわらないで適応力のあることが理由のようです。