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新発売の糖尿病内服剤

2010.2.20

昨年12月に新しい糖尿病内服剤が発売されました。私共の病院でもこの新薬に適した患者さんには使用しはじめています。“この新薬”については2006年8月に当院のインターネット/ホームページに掲示しています。これまでの糖尿病薬とは全く作用機序が異なるため“画期的な糖尿病新薬の開発”のテーマで書かれていますのでご参考にお読み下さい。

この度発売された薬は一般名をDPP-W阻害剤といい、製品名をジャヌビア(万有製薬)とグラクテイブ(小野製薬)の名で発売されています。さらにこの4月から製薬会社2社でも発売される予定となっています。

同じ糖尿病でも欧米人と日本人では糖尿病の病態が異なっていることが多くの研究で明らかにされています。日本の糖尿病患者さんは欧米人と比べインスリンを分泌する膵臓B細胞の働き低下が早く、インスリン分泌量が少なくなり易いと言われています。このようなタイプの糖尿病にこの新薬は適応が高いと言われています。つまり膵臓B細胞を再生し、またB細胞の数を増やす作用がありインスリンを促進させます。さらに良いこは副次効果として食欲を抑える、体重減少させる効果もあわせもち、やせ薬として使用することも考えられていたようです。

これまでに行われた日本人の治験成績ではHbA1c1.05%低下し、空腹時血糖が31.9mg/dl、食後血糖が81.3mg/dl低下し欧米人を上回る好成績がでたと報告されています。ただお腹が少し張るとか吐き気が起こることがあり、当院でもこの症状で中止した患者さんが一名いました。少なくとも糖尿病になって経過年数の短い人は最適と考えます。またSU剤(オイグルコン、グリミクロン、アマリール)、メトフォルミン(メルビン、グリコラン)、α-グルコシダーゼ阻害剤(グルコバイ、ベイスン、セイブル)、アクトスで治療している患者さんで血糖コントロールが仲なか改善しない人にはさらに追加して用いることはできます。インスリン治療の方の使用は保険適用になっていないのが残念です。いづれの新薬でも言えることですが新薬は14日分処方となっています。1年過ぎましたら長期投与が可能となります。