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韓国における2型糖尿病の管理の現状

 

2010.3.26

今回は、日本のお隣「韓国」の糖尿病事情についてお話したいと思います。 これから述べるこの調査は、糖尿病を基礎疾患とする脳血管障害や心疾患が死因の上位を占めるようになったため、韓国糖尿病学会と保険当局(HIRA)が協力して2005年に糖尿病の現状について調査をし、昨年結果報告されました。

糖尿病の罹患率は全国民で5.9%であり、欧米人と違い肥満は少なく、痩せ型糖尿病患者が多いことは日本と似ています。しかし、実際の治療では、糖尿病患者の管理・治療が十分になされていないことが明らかとなりました。

例えば、診療記録(つまりカルテ内容)が欠けていることが多いということです。最初に糖尿病と診断された日が記録されているのは63%で喫煙・飲酒習慣に関しては40%が記録されるのみでした。また、検査も十分に行われておらず血圧は55%、眼底検査6%、HhA1c 30%、尿中微量アルブミン3%の人しか検査していない状況でした。更に1年間を通して糖尿病治療を行っているのは20%程度というのが実情で、50%以上の患者は薬剤治療を続けたのは6ヶ月未満でした。つまり患者は継続的に服薬できていないということです。これは糖尿病に限らず、高血圧治療や高脂血症治療でも同様でした。

韓国の医療制度は日本の制度を手本としているため、国民皆保、企業主体の健康保険組合の健康保険・国民健康保険などの日本の保険制度とほぼ同じです。従って、余程の貧困層ではない限り、経済的な事情で糖尿病治療が困難という状態は無いといえます。にもかかわらず、治療を継続する「意識」が低いという状況が明らかになりました。このような状況が反映されて糖尿病合併症が進行し、糖尿病関連疾患の死亡率は日本と比較し2倍になるそうです。また医療費の面でも韓国の総医療費18兆ウオンのうち約20%が糖尿病患者に使われている状態になっており、個人が負担する医療費も糖尿病患者では一般国民の約4.6倍も高くなっています。

また、治療面では70%が経口血糖降下薬で治療を受けており、16%が食事や運動療法、インスリン使用は14%です。全ての薬は基本的に保険は利くものの、ペン型インスリンは保険が利かず全額自己負担になってしまいます。

更に、日本の社会との違いの一つに兵役制度があります。18歳以上の男性は全員徴兵検査を受け、身長150cm以下のもの、健康上の理由で兵役に就けない者を除き逃れることができません。ですからほとんどの男性は大学2年次を終えた時点で休学し、23年兵役に就き復学するため、大学を卒業するために通常8年かかります。インスリン注射をしていても「集団生活を営むことが可能」であれば兵役に就くことができます。

このように、日本と韓国では糖尿病を取り巻く事情が違っていますが、日本でも韓国でも全国民に対して「糖尿病」の啓発を行うのは、医療従事者だけでなく政府の責務であると思われます。