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今年改正された糖尿病診断法とは  

 2010.8.25

世界の糖尿病人口は年々増加しており、糖尿病は国際的な対策を講じなければならない疾患の一つになっています。その対策の一つとして糖尿病を早く見つけ、早く対応をしようという早期発見、早期治療の機運が盛り上がってきています。

このような目標を実現させるために、糖尿病の診断方法が世界的に見直されてきています。アメリカでは昨年の学会で高血糖値をみて診断するだけでなく、ヘモグロビンA1c値のみでも診断できるように改訂しました。

日本では今年5月の日本糖尿病学会で11年ぶりに診断方法を改訂しました。血糖値を第一とし、ヘモグロビンA1cも参考とし糖尿病発見率を上げるためにすそ野を広げました。

これまでの診断方法は

@  空腹時血糖値≧ 126mg/dl

A  75gブドウ糖負荷試験2時間値≧ 200mg/dl

B  随時に調べた血糖値≧ 200mg/dl

これらのいずれかがある場合は糖尿病といえる可能性が大きいとして「糖尿病型」としました。さらに後日再検査をしてこれらの数値を認めたときは「糖尿病」と診断しす。

また初回の検査で「糖尿病型」であったときに

C  糖尿病の症状(口渇、多飲、多尿、体重減少)

D  ヘモグロビンA1c≧ 6.5%

E  糖尿病網膜症がある

これらのいずれかが同時にあると直ちに糖尿病と診断します。

今年5月からの新しい診断基準は従来の@ABに加え

   B' ヘモグロビンA1c 6.1%以上が加わり

これら4条件のいずれかがある場合は後日再検査をする、また@ABに加えB

がある場合は直ちに糖尿病と診断することになりました。いずれにしても日本の立場として血糖値を重視して診断するという基本姿勢があり「ブトウ糖負荷試験」がいかなる検査値が出ても最終診断となります。

a)診断基準値には至っていないがそれに近い値として

   空腹時血糖値110125mg/dl、随時血糖値140199mg/dl, HbA1cHbA1c5.66.0%のいずれかで糖尿病を否定できない人はブドウ糖負荷試験が勧められます。

b)高血圧、高脂血症、肥満、動脈硬化の強い人もブドウ糖負荷試験が勧められます。

c 家族、血族関係に糖尿病の人がいる場合もブドウ糖負荷試験が勧められます。