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メタボと糖尿病の関係は? 親子か、兄弟か

 

2010.09.25

「メタボリック症候群(メタボ)」は、平成20年にそれまでにあった「すこやか健診」に代わってできた「特定健診」の主眼です。特定健診の基本はかっての成人病の健診となりますが、成人病を引き起こす原因は肥満です。がん、糖尿病、高血圧、高脂血症などの発病原因は全てではありませんが、肥満です。肥満は遺伝で起こることがありますが、成人病も遺伝が関係している病気があります。とくに糖尿病は糖尿病遺伝子だけで発病するのではなく肥満があって発病します。従って肥満は糖尿病の生みの親となります。それでは肥満は外見だけで決めてよいのでしょうか。

外見の肥満には内臓脂肪の肥満と皮下脂肪の肥満があります。相撲力士は明らかに肥満体に見えますが、内臓脂肪は少なく筋肉の固まりで皮下脂肪型の肥満です。ですから相撲力士の糖尿病発病率は一般の人と同じで外見の肥満は当てになりません。ところで太っているか否かを決めるのに二つのやり方があることを知っていますか。

日本肥満学会でいう肥満の判定はBMI(体格指数)で決めています。BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)で体重65kg, 身長165cmの人で計算すると。 BMI23.8となります。BMI18.5〜25を普通体重とし、25〜30を肥満度1, 30〜35を肥満度2、35〜40を肥満度3、40位以上を肥満度4としています。この判定法は身長と体重の計算式から出しているもので、脂肪過剰を表しているものではありません。BMI>25で病因が明らかにあるものを二次性肥満、病因が明らかでないものは原発性肥満といって内臓肥満の検査に入ります。どちらかというと実用性はなく公文書、学術的に用いることが多いです。患者さんの一日食事摂取カロリーはBMI22×身長(m)×身長(m)で求めます。

一方、特定検診が主眼とする内蔵脂肪型肥満の判定は正式には腹部のCTスキャンできめます。臍レベルのCT検査で内臓脂肪面積が100cm2以上を肥満と診断しています。このやり方は検査費用が高く、手間もかかりますからCTスキャン100cm2の時の腹囲を測定して男85cm以上、女90cm以上を肥満とします。この判定に合格(?)した人は次に、

1血糖値(空腹時血糖100mg/dl以上か ヘモグロビンA1c5.2%以上)

2脂質 (中性脂肪150mg/dl以上か HDLコレステロール40mg/dl未満)

3血圧 (収縮期130mm/Hg以上か 拡張期 85mm/Hg以上)

4喫煙歴あり

これら4項目中の該当数により特定保健指導を受けるか医療機関での治療を受けることになります。メタボリック症候群の病名が正式に決まってからの日が浅く(平成17年4月)どの程度のメタボが何年続いてどうなるのか、それぞれの病気のつながりなどを調べるのはこれからの課題と考えます。アメリカの高度肥満症は生命にも係わるので、胃の手術とか脂肪吸引とかのやり方があります。州によっては肥満に税金をかけたり、飛行機や船の運賃を割高にしているところがあります。