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糖尿病患者の寿命(続編)

 

2013. 10. 17

一体、人間の寿命は何年位と考えられるのでしょうか。人間という生物を自然界の中で大事に育てると寿命は120年といわれています。そうすると糖尿病を持つ自分は一体何年生きるのかという課題に当然関心をもちます。最も簡単に割り出すのは寿命を縮める生活のやり方(食べ物、仕事、睡眠、たばこ、アルコール、糖尿病の年数、事故、気象変化、公害など)がそれぞれ何年寿命を縮めるものか、それら全てを合算して120年から引くという消去法で調べることです。しかし寿命を縮めるマイナス年数を調べる換算法はありません。せいぜい寿命を損なうマイナス生活因子を少なくすることでしょう。

 

現存する世界最高齢者(公式)は大阪市在住大川ミサオさん(115歳)ですが、これまでの人間史上最高齢者はフランス人ジャンヌ・カルマンさん(122)であう。ところが25818日朝日新聞に史上最高齢者となる南米ボリビア男性カルメロ・クロレスさんが123歳で元気でいる写真付ニュースで報道されました。元気そうですからまだまだ寿命は延びるでしょう。

 

さて今月の掲示テーマである糖尿病患者の寿命について述べねばなりません。日本糖尿病学会では、糖尿病治療目標を次のように定めています。

健康な人と変わらない日常生活の質(QOL)の維持、健康な人と変わらない寿命の確保

そこで、糖尿病学会では5年毎に糖尿病患者の死亡原因や死亡年齢について全国調査をしており、今年が調査年度に当たっているため結果がまだ出ていません。2000年度の調査では糖尿病患者の寿命は一般人より10年短いと言われています。その理由は一般人の死因である血管障害(動脈硬化による)、癌、肺炎などの感染症は糖尿病患者で頻度が高く、しかも若い患者でも発病しています。前の死亡原因調査報告をみると悪性新生物(癌)34.1%、血管障害(脳、心臓)26.8%、感染症(肺炎)14.3%の順となり、一般人の順位と変わりありません。                                     

 

当院でも合併症の防止には力を入れており、血管障害の早期発見、早期治療に対応すべく循環器専門医である石井勝久先生に常勤医となって頂く事としました。癌対策としては患者さんへの癌検診の啓蒙しかありません。癌発病を他人事のように思っている人が多いのですが、症状がなくても是非癌検診を受けていただきたいと思います。残念なことに先々月に膵臓癌の患者さんが見つかり今年3例目となりました。

 

 最後に当院の高齢者で「健康寿命」の長い方についてお話します。最高齢96歳が男女1名づつ、90歳以上が12名、80歳代が152名おられます。その方々は定期的に受診され診察室でお会いしてお話し合いをしています。ひょっとしてこの方たちは7年後の東京オリンピックが見れるかもしれません。

                         

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