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         現代版「養生訓」 その1       

 

2015.9.11

「養生訓」を語る前に「養生」とは何かを説明しなければなりません。 江戸時代以前には健康とか養生という意識は一般人にはなかったようです。儒教や儒学がいつ頃に入ってきたか分かりませんが、その中に養生の語源があるようです。 養生の字は羊と食からできており「羊を飼育する。食べて生きる力を養う」という意味があるようです。江戸時代元禄に入り世の中が太平になると一日3食が習慣化し、食べ物や食べ方が工夫されるようになりました。貝原益軒、自作の木造

このような時期に筑前(福岡)黒田藩に仕えた儒学者貝原益軒が84歳の時に「養生訓」八巻を世にだし当時のベストセラーとなりました。「養生訓」の中にあるような長生きのコツを書ける人は長生きした人でなければ書ける筈がありません。長生きするための食べ物、食べ方、運動のやり方など生活全般にわたって書かれています。貝原益軒は大作を書き終えて85歳で亡くなりました。 90歳、100歳まで生きたという話は新聞、雑誌によく載りますが養生して長生きしたという話は聞かれません。

例えば、きんさんぎんさんは双子で107歳と108歳まで生きましたから二人は同じ体質、遺伝的要因があって長生きしたと考えます。 お二人とも魚とフライドチキンが好物、お茶が大好き、よく働く散歩します。生活ぶりではくよくよしない、良いこと悪いことすぐ忘れる、悲しいことも忘れる。忘れきるのが特徴です。

もう一人の長寿者は世界最高齢であった大川ミサヲさん117歳です。今年41日に特別養護老人ホームで亡くなりました。それまでは元気でテレビのニュースをみて、新聞を読むなど好奇心が旺盛でした。大阪人だけあってハイカラな生活が好きなようです。おいしい物が食べたい、サバ寿司、肉料理が大好物、だが野菜は好まない。

これら3人の長寿者に共通していることは@周囲の物事に気を使わない Aゆったりした生活、B食べ物も自分の好きな物を食べる C毎日2030分歩くことです。特別に養生を意識した生活ではなかったようです。 因みにきんさんぎんさんの母親と叔母は107,108歳まで生きたようです。それで当院の90歳以上の方々に親、兄弟姉妹の長生きを尋ねるとほぼ半分の人に長生き家族がおりました。

最後に男性長寿者をご紹介します。皆さんご存知の聖路加国際病院理事長 日野原重明先生(10月で104歳)です。先生は現在も診療に従事し、講演会にも登場し立ったままで講演しています。さらにピアノ演奏し、音楽会で指揮をし、最近は俳句もはじめています。先生はこれまで「成人病」といわれた病気群を「生活習慣病」と変えることを提案し、それを予防するために自分の体験、教訓をのべていますのでその一部を書いてみます。

@少食 A植物油をとる B階段は一段飛び C早足 Dいつも笑顔 E首を回す F丹田式呼吸法 G物事に集中 H衣服は自分の好みで I体温、体重、血圧測定 Jお互いに愛し、愛されるよう努める Kしたことの無いことをやる L耐える M定期健診 N歯を大事にする O身体の安静は良くない。

ところで、先日発表された日本人の平均寿命(2014年)は女86.8歳(世界第一位)、男(世界第三位)80.5歳となり、平均寿命90歳に達成するまでになりました。そこで当院の90歳以上を調べると2年前の調査と同じく12名でした。最高齢者は佐藤ケスさん977ヶ月です。人間を上手に養うと120歳まで生きれるそうですが、平均寿命100歳の時代がまもなく来る感じがします。

この続きは1113日世界糖尿病デーの時に当院食堂でお話します。

 

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