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 皆様 明けましておめでとうございま

 

2016.1.1

年始めによく言われている「一年の計は元旦にあり」と言われていますが、生活で何かきっかけがないと自分自身を、生活を、仕事を見直す機会はありません。糖尿病についても然りで、血糖値やヘモグロビンA1cが良くても悪くても無症状で経過していますから「なるようになるさ」的な気持ちで無頓着に過ごすことが多くなります。しかしもう少し養生すると毎日の体調がよく、合併症を防いで人生の道を引き伸ばすことができます。

「養生」という言葉は1713年(江戸時代元禄期)に儒学者貝原益軒によって唱えられ、今日まで広められています。最近の日本人は美味しいものをたくさん食べるとか、お金を沢山稼ごうとか、テレビでごろごろしていたいとかの気持ちは卒業し健康で長生きする健康志向に変わってきています。

「養生」の意味はふたつあり、➀病気を持たないようにする心構えをつくることと、 A病気の回復と治癒に向けて努めることです。皆さんがどの様な心構えで糖尿病に向き合うと良いのか、貝原益軒は「養生訓」の第一巻第一章で次のように述べています。

「ほとんどの人は、生まれた時にもらった寿命は長い。天寿が短く生まれた人は希である。しかし生まれながらに元気で体が丈夫な人も養生の術を知らなければ、朝夕の元気を損ない日夜精力を減らし生まれつきの寿命を保つことができず早世してしまう。人の命は我にあり、天にあらず。人の命は天から授かって生まれるが養生すれば長く、養生しなければ短い。だから長命なるのも短命なるのも自分の心のままである。」

この書き出しから始まり、第八巻まで養生の道が生活全般にわたって書かれています。しかし養生しても解決されない問題があります。その一つは男性と女性の平均寿命に差のあることです。この寿命の性差は世界中で見られる現象で、定説はありませんが最近この問題について述べられている報告がありお話します。

2014年の厚生労働省が発表した日本人の平均寿命は女性86.8歳、男性80.5歳で6.3歳の開きがありこのままで寿命は延びているという話です。男女の寿命差の起こる原因は簡単ではないようですが基本は老化の違いにあるようです。その中でも男性ホルモン「テストステロン」の分泌低下が原因しているようです。

テストステロンは性機能(勃起能、性欲、)、代謝機能(脂質代謝、インスリン抵抗性)、身体構成機能(筋力、骨代謝、脂肪)精神機能(認知能力、ムード)に係わりがあり、一般に男性更年期障害と言われているものです。これらの機能低下が進行していくと認知症、ロコモティブ症候群、メタボリック症候群、サルコペニアを引き起こし、健康生活に支障をきたし死亡率を挙げると述べています。平均寿命については是非男女平等になって欲しいものです。

  尚、本文後半は札幌医師会誌「なぜ男性は女性より短命か」佐藤嘉一先生の学術論文を引用させて頂いています。

 

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