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動脈硬化の早期診断

頚動脈エコー検査について〜

2016.6.24

近年の食生活の欧米化や高齢化に伴って、動脈硬化に起因する疾患(脳梗塞、狭心症、心筋梗塞、下肢閉塞性動脈硬化症など)が増加しています。頸動脈は動脈硬化がよく発生する部位として知られています。頸動脈は心臓に近い大きな動脈(直径5-10mm程度)であり、皮膚のすぐ下を走っているため、超音波検査に適しています。頸動脈を調べることで全身の動脈硬化の程度を推測することが可能となります。頸動脈の動脈硬化が進んでいるほど、脳梗塞や心筋梗塞の発症率が高くなると言われています。

頸動脈エコー検査は簡便で視覚的に動脈硬化の診断ができる検査です。動脈硬化を起こすと血管壁が厚くなり、硬くなりますが、その様子が画像で簡単に確認できます。仰向けに寝た状態で、首の部分にゼリーを塗りプローブ(小さな機器)をあてて検査をしていきます。着衣のままで検査を受けることができ、左右合わせて数分程度で終了する簡単な検査です。被爆の危険もなく、痛みもありませんので、繰り返して行うことが可能であり、年月を追って動脈硬化の進み具合を観察できます。

観察のポイントは、頸動脈壁の厚み(肥厚)やプラーク形成(血管の壁内にコレステロールの塊がたまること)とその性状です。

動脈壁は一般に血管の内側から、内膜、中膜、外膜の3層構造になっていますが、第1層と第2層を内膜・中膜複合体と呼び、その厚さを計ります。(内膜・中膜複合体肥厚度=IMTと呼びます)IMTは通常1mm未満であり、1mmを超えると動脈硬化が示唆されます。IMTは加齢とともに厚くなりますが、高血圧、脂質異常症、糖尿病、肥満などの生活習慣病は肥厚を加速させる危険因子となります。この頸動脈IMTは早期動脈硬化の指標として有用です。

頸動脈壁の一部分が血管内腔側に少し盛り上がった像(1mmを超える盛り上がり)をプラークと呼びます。このプラークがやぶれるか、プラークの一部に穴があき潰瘍ができると、そこに血栓(血の塊)ができ、はがれると脳梗塞や心筋梗塞を起こします。

これらの所見(IMTの肥厚やプラーク形成)があると「動脈硬化あり」と診断されます。

頸動脈エコー検査は動脈硬化の早期診断に有用です。動脈硬化は自覚症状がなく進行し、心臓病や脳血管障害などいろいろな病気を起こす要因となります。脳梗塞や心筋梗塞が起こる前に、動脈硬化があるかどうかを、頸動脈エコー検査で確認することをお勧めします。

 

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