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2018年糖尿病治療を振り返って   

2018.12.21 

今年1年の糖尿病治療を私なりに振り返ってみます。

まず一つ目は新しい糖尿病治療薬が登場し(2010年にGLP-1の薬、2014SGLT-2の薬)、徐々に使用成績が報告されました。

@    SGLT-2阻害薬(例えばスーグラ・デベルザ)

糖を尿から排出させるという内服薬です。最近では同薬剤を心血管疾患の前歴の糖尿病患者に使用すると、1)血糖の改善2)心血管障害の再発を抑制3)腎臓合併症の進行を抑制したと発表されました。(EMPA-REG study

国内の学会でも同薬剤の講演や発表が多くみられました。

A    GLP-1の薬(例えばビクトーザ―・バイエッタ・トルリシティ)この薬は注射の薬です。作用としては、1)高血糖の時にインスリンの分泌を増やす2)血糖を上げるホルモン(グルカゴン)を抑える3)食欲を抑えることで体重を減らす作用があります。心血管疾患を引き起こす可能性の高い糖尿病患者において血糖改善や体重減少だけでなく心血管障害の再発や腎症の進展を抑制したという結果が発表されました。(LEADERSUSTAIN6 study

これらの新発売された薬は上記結果もふまえて、今後使用頻度が多くなる事が予想されます

二つ目は血糖測定器の進歩です。

血糖測定は今まで自己血糖測定器により毎回指先に針を刺して測定していましたが、2009年に持続血糖測定(CGM)が使用可能となりました。皮下に挿入したセンターが皮下のグルコースを測定しそれを血糖値に換算することで持続的な血糖を測定することができます。夜間の血糖も把握できるようになりよりきめ細かい薬剤の調整が可能となりました。更に2017年には上腕に付けたセンサーに本体(リーダー)をかざすと現時点の血糖が直ちに本体の画面に表示されるFGMflush glucose monitoring)が使用可能となっていますセンサーは2週間使用できます。当院でも対象となる患者さんに対して来年から導入を検討しています。薬だけでなく血糖管理における血糖測定機器の進歩を感じる1年でした。

この1年で糖尿病診療も変化していますが、皆さん一人一人に対し来年も職員皆が「広い視野で、深い思いで、遠い見通しで、そしてなごやかな談笑」を目標に診療していきます。

みなさま良いお年を。

医師 坂井恵子

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