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「持続血糖測定器」を知っていますか

2018.5.26

  世界中の糖尿病患者さんは、日常生活の血糖値を下げてヘモグロビンA1c(A1c)を7.0%以下にすることに努めています。A1cは患者が血液疾患を持っていない限りでは、血糖値の高い低いを反映していることを皆さんはすでに学習済みと思います。

最近はHbA1cが血糖値高低ばかりでなく、一日の血糖値パターンや日毎の血糖値変動のパターンの変化(日差変動)も併せて検討し治療法に反映させています。

つまり血糖値の動きを多面的にみて、質の高い血糖値コントロールにつなぐことが求められます。

これにかなう医療機器が2014年頃から開発され、いま国内で盛んに使用されている持続血糖測定器(フリースタイル・リブレプロとアイプロ22社製品)です。

当院でもほぼ1週間の検査入院で45日間の持続血糖測定を行っています。これまでに検査を受けた患者さんの数々の検査データから分かった印象をお話します。

大きく言って次の七つパターンのあることが分かりました。 皆さんはどのパターンにはいると思いますか。

   @ 朝食前血糖値と朝昼夕食後血糖値が共に高い人

   A 朝と夕食後血糖値は高いが、昼食後血糖値は高くない人

   B 朝食前血糖値はいつも120mg/dl 以下、しかし毎食後血糖値がいずれも     
     200mg/dl以上の人

   C 夜間の血糖は安定し、明け方からぐんぐん血糖値が上昇して空腹時血糖が    
     150mg/dl 以上になっている人(暁現象と言います)

   D 日中の食後高血糖が続いていても、睡眠中は血糖値100mg/dl前後で時には低 
     血糖70mg/dl以下になる人

   E 朝食後血糖値だけがいつも200mg/dl以上であるが、いつもA1c7.0%以下で   
     いる人

   F 血糖値は明け方が低く時に低血糖となり、朝食前血糖値は150mg/dl前後まで    
     上昇する人(ソモジー効果)

  持続血糖測定をすると、以上のような血糖値パターンをとる病型分類ができます。

上記の説明を図表にしてみました。

 

しかし、それぞれ病型別の血糖パターンの解釈がむつかしいことと、その対応(治療法)に工夫が必要とされます。また低血糖や高血糖の血糖パターンの異常を起こす原因が分かるわけではありません。これらの問題が解明されないままでも、一方で持続インスリン抽入器が臨床の場に登場されています。

今回は少し難しい話になりましたので、分からないところはお尋ね下さい。

 

医師 佐々木 嵩