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第61回日本糖尿病学会に参加して

2018.6.29

  5月24日〜26日間東京国際ファーラム(東京)で行われました。今年は更にJRタワー・東京コンベンションホール・MY PLAZAホールも開催会場となり年々大きな学会になっています。

シンポジウムでは基礎系と臨床系合わせて32演題が発表され、一般演題は2445題(口演1307題、ポスター1138題)と非常にボリュームのある内容でどこに行っても多くの人で溢れていました。

毎年のことですが、最新の薬(インクレチン関連薬やSGLT2阻害薬)に関する話題が多く発表されていました。また近年インスリンポンプや血糖モニターなどの医療機器の開発が目覚ましく、血糖モニターに関しては              当院でも治療方針の決定のため多くの患者さんに使用していましたので、シンポジウムやポスター発表を見てきました。

先月の佐々木先生の掲示板の記事に掲載されていた、持続血糖モニタリングは、24時間持続的に一定期間血糖(機種により違いますが1週間から2週間)を測定し、その人の血糖変動傾向を把握して治療に役立てる機器です。

現在機種は2種類があり、アイプロとリブレ・プロを当院でも使用しています。前者は1週間と短期間使用であること自己血糖測定(SMBG)と併用し誤差を調整する必要がありますが、後者は自己血糖測定による較正が不要であることと14日間の長期使用が可能です。しかし、他施設の発表ではiPro2のほうがSMBGとの差が少ないといった報告がありました。(自己血糖測定で補正しているからでしょうか)

さらに進歩して直近の血糖測定値を直ちに確認できる機器として、2017年9月に Flash glucose monitoring (以降FGM)が発売されました。国内ではフリースタイル・リブレという機種があります。血糖(静脈血)や自己血糖測定(SMBG)と比較した発表が多く見受けられました。低血糖時はSMBGとの差が大きくなること。急激な血糖変動時もSMBGや血糖(静脈血)との差が大きくなる為あくまでもSMBGを補うのものとして位置づけが適当との見解でした。

また、シンポジウムのなかで東京慈恵会医科大学の西村理明先生はフリースタイルリブレは装着後2−3日間と装着10日以降はSMBGとの差が大きくなるため、それを理解したうえで装着2−3日後にSMBGを頻回に確認し血糖差を把握することがコツですと話していました。

また近日発売予定の「ガ―ディアンコネクトシステム」は直ちに血糖を把握でき、更に低血糖時は警告機能がついていたりスマートフォンでアプリを入れると血糖がスマートフォンで見ることができたりその情報を共有(主治医や家族等)することができるそうです。遠隔診療も可能になるかもしれません。ただ、本来の血糖との差がどの程度認めるのかが問題と思いました。

また、インスリン注射に関しては、皆さんが待ち望むような経口インスリンという話題はありませんでしたが、インスリンパッチポンプが今後日本で発売予定です。

インスリンポンプとは1型糖尿病や糖尿病の妊婦さんなどペン型のインスリン注射ではコントロールが難しい患者さんが使用しています。

今まではチューブを通してインスリンを持続的に皮下に注入していましたが、最新のインスリンパッチポンプはチューブがなく体に張りつけるポンプ機能を持ったインスリン注入器で、注入量はリモコンで操作します。体に張り付けた場所の皮膚かぶれ等が改良されていたらいいなと思います。

インスリン注射も注射器からペン型になりそしてシップ型に。薬の進歩だけでなく医療機器の進歩も目覚ましいと感じた学会でした。

 

 

坂井恵子医師

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