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糖尿病食の摂り方のコツ   

2018.8.24  

 

糖尿病の食事療法は、合併症を予防するために低エネルギ−食とした中で、各栄養素が不足しないようにバランスを保つことを基本としていますが、食後の急激な血糖上昇は、血管を傷つけやすくするため、食後の高血糖を改善し長期に渡り血糖をコントロ−ルすることが合併症を抑制しQOL(生活の質)を維持するためには必要となります。 そこで今回は、食後高血糖を抑える為の食事の摂り方のコツを紹介したいと思います。

表1  (主食となる穀物類で、食後血糖への影響が最も大きいグル−プ) 白米や食パンを、玄米や麦飯、ライ麦パン、雑穀入りパン等にかえることにより、食物繊維が多くなるので血糖上昇は緩やかになります。しかし、もち米は血糖上昇が速いので、餅、赤飯、おこわ等は使用頻度を少なくしましょう。また、麺類は、一般的に固ゆでにした方が急激な血糖上昇を抑えることができます。

表2  (果物) 果物に含まれる果糖は消化が早く、摂取後急激な血糖上昇が見られますが、他の食品に比べすぐに血糖値が下がります。血糖上昇を穏やかにする方法として、1単位分の果物を2〜3回に分けて摂取したり、柑橘系の果物を取り入れましょう。レモン、みかん、グレ−プフル−ツ等の柑橘系の果物に含まれる酸味は、胃内停滞時間を遅らせるので、その結果消化が遅くなり血糖の上昇を抑えられます。また、同じ果物でもジュ−スにすると血糖上昇が速くなりますのでそのまま食べましょう。

表3  (魚、肉、卵、大豆製品) 表3の食品類は蛋白質が多いので、ご飯より先に食べることで食後の血糖上昇が緩やかになります。これは、魚や肉に含まれている蛋白質によりインクレチン(インスリンの分泌を促すホルモン)が多く分泌されるためです。

表4  (牛乳、ヨ−グルト) 牛乳や乳製品は、胃と小腸の粘膜壁に薄い膜を作るため、食べ物の消化吸収をゆっくりにすると言われています。そのため、牛乳や乳製品と一緒に食べることで血糖値の急上昇を防ぐことができます。

表5  (油脂) 脂質は、消化吸収のスピ−ドをゆっくりにするので、血糖の上昇は緩やかになります。しかし、摂取する脂肪の種類により動脈硬化症などを発症し大血管障害の危険もあるため、1日10〜20gまでとしオリ−ブ油などオレイン酸を多く含む油を利用しましょう。

表6  (野菜) 野菜、海藻、きのこ、こんにゃくには食物繊維が多く含まれているので食後の血糖上昇や、血液中のコレステロ−ルも抑える効果があります。食事の最初に野菜を食べるとご飯が先の時と比べて、食後血糖値の急な上昇が抑えられるのは、食物繊維が体内で糖質の分解や吸収速度を抑えるためと考えられます。

調味料 調味料の中で積極的に取り入れたいのは酢です。酢に含まれている酢酸には、食物を胃から小腸へ送り出す時間を遅らせる働きがあり、そのために消化が遅くなり血糖の急激な上昇を抑制します。また、レモンにも同様の効果があるので肉や魚等にふりかけて摂りましょう。

最後に 食事の中で、何かを極端に控えるような方法は長続きしませんが「野菜から先に食べる」といった方法なら気軽に実践しやすいと思います。さらに、ゆっくり噛んで食べることで血糖の上昇を緩やかにすることができます。食事本来のおいしさや楽しみを味わいつつ「一病息災」を目指して出来ることから始めてみませんか。

管理栄養士 大島 理香子

 

参考文献 臨床栄養のためのGlycemicIndex食後の血糖値上昇抑制への効果と活用

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