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「高齢糖尿病患者を見守る注意点」  

~家族の皆様参考にして下さい~

2020.10.10

病棟主任看護師 小杉 久美子

 

高齢糖尿病患者さんの治療の目的は合併症予防だけではなく、体調が良い自立した日常生活をいかに維持できるかという事です。高齢者の特徴として、個人差はありますが、身体や認知機能の低下が生じ、場合によってはフレイル(虚弱な状態)をきたすこともあります。在宅で少しでもその人らしく、より健康的に過ごして頂くためには高齢者に起きてくる変化を予測して、ご家族や周囲の知人の方が関わる機会をなるべく多く持つことです。そして、「今、どんな状況なのか」を正しく知り、「それに合った支援は何か」を共に考える事が必要です。

認知症に至らなくても高齢になると実行力や理解力、注意力が低下し物忘れも多くなってきます。その為、薬やインスリンなど注射の自己管理が曖昧になり、服薬を忘れてしまったり、服薬や注射をしたかどうかが思い出せないという状況になりがちです。

高齢糖尿病患者さんを支える具体的な内容を次に記します。

 

対応1《服薬やインスリン管理が難しい時》

@   薬カレンダーや薬ケースを使用する

A   事前に薬を朝・昼・夕・寝る前に小分けにして準備しておく。インスリン針も同様に一日に使用する個数を出しておく

B   使用した針や服用後の ( カラ ) の薬シートは次の食事時間帯まで専用ケースに入れてとっておき重複して注射・服用しないような工夫をする。

C   家族や身近な方は残っている薬やインスリンの量が処方日から現時点までで合っているかを定期的に確認する。(一週間ごとなど)

D   インスリン注射をしている場合は注射の仕方や部位を見る。 (硬くなっている注射部位がないかどうか)

 

対応2《バランスがとれた食事への関与》

@   定期的に冷蔵庫の中を見せてもらい、買い物の状況や食事の支度が出来ているのかを確認する。(同じ食材がいつまでも残っていないかなど)

A   食事が三食規則的に摂れない時は買い物に付き添い、献立を一緒に考えるなど食事の支度に関わる。または宅配食の利用を勧める。

 

対応3《外出が減ったり運動不足のとき》

@   買い物や趣味の鑑賞など外出・散歩に誘い、歩く機会をつくる。

A   座ってできる運動の方法を医療者から聞いておく。

 

対応4《急に体調が不良になった時》

@ 体調が勝れない時の連絡方法や支援できる家族・知人を決めておく。

A   シックデイや低血糖時の対処の方法を医療者に確認しておく。

B   普段から脱水予防に注意をはらう。  

 

対応5《身体の状態や治療内容を知る》

@   定期通院や急な受診に付き添う。

A 「糖尿病連携手帳」や「お薬手帳」等を活用し、薬剤情報には目を通しておく。

 

高齢者の平均寿命や健康寿命の延びが期待され、健康管理への関心も高くなっていますが実際にはキーパーソンが不在であったり、老老介護が多くなっており支援不足が問題となっています。ご家族や周囲の身近な方々の見守りや助け合いがますます必要な今日となっていると感じています。

 

《実際の薬管理の仕方》

小袋に、朝・昼・夕食後薬を分けて日付を入れる 一週間分用の薬ケース

インスリンの種類を分けてセット 一週間分用の薬ケース
1日分のインスリン針をセット 一週間分の薬カレンダー

      

 

 

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