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和食のこころ

2020.3.16

先日ある書店に立ち寄った時にたまたま目に止まった本がありました。

それが今月の掲示板のテーマです。

今年1月1日に発行された「和食という文化}NHKテキスト「心を読む」1月〜3月号です。その他に和食文化に関する本1,2冊を参考にして話をまとめました。

弥生時代から始まったと言われる和食は2013年2月4日にアゼルバイジャン首都バクーでユネスコ無形文化遺産として世界に認定されました。

正式の和食を摂ることは日常生活においてはまずないと思います。しかし現代の忙しい社会に「和の精神」「和の文化」をとりいれ、少しでも潤いのある食生活の中で過ごすことは望ましいことです。

まず初めに「和食」とは何かとは単純な質問ですが、その答えを一言で述べることは難しく自然の恵みに対する神への感謝の心を持つことが和食の基本精神と言われています。一般の日本食とは異なる一面があります。その他には行儀作法、包丁の研ぎ方、使い方、器の選び方などが入っています。典型的の和食は正月料理の雑煮に示されていると言われています。

和食は美しい食材を飾り付け行儀作法が加味されることになっています。和食の型は鎌倉、室町時代に作られ、時代を経て一汁三菜、主菜二副菜、主食三菜などと言われています。これらに心を込めて作る料理は京都料理が代表されます。

和食の和の字はいろいろな気持ちを込めた意味をもっています。

例えば「なご(和)やか」、「やわ(和)らぐ」、「温和である」、「数の総和」、「大和=日本」、「和がとれる」、「平和」、「和気あいあい」など心が穏やかになる言葉を表現しているように思います。

それでは和食の内容はどうかといいますと、詳細な料理内容は見当たりません。西暦1116年ころの見本図があります。八汁二十三菜もありました。和食は精進料理、会席料理と融合しながら江戸時代で完成されました。

昔の料理ですから栄養のバランスとかカロリーの考えはなく、その美しさと飾りつけ、和食精神に気をつかっています。

戦国時代(16世紀)まで一日二食制できていますから、一食分のカロリーやボリュウムは多い食事だったと思います。江戸時代になって一日三食に変わってきています。日頃患者さんには簡単に洋食より和食を摂ってくださいと言っていますが、この本を読んでみて和食の意味が良くわかりました。

日本食は時代によって中身が異なります。簡単なことで言いますとラーメンもカレーライスも中華、インド食とは言いません日本食にはいっています。

 

参考文献

1 「和食という文化」:熊谷功夫 NHKテキスト 1号〜3号 NHK出版 令和2年1月1日発行

2 特集 「和食」 食の科学 No 313 光琳社 2004年3月発行  

3 「和食」 日本の自然、人々の知恵 朝日新聞朝刊 令和2年2月19日

4 「和食」 展示会 東京上野国立科学博物館  3月14日〜6月19日

      主催 国立科学博物館、朝日新聞社、NHK、文化庁、日本芸術文化振興会 

医師 佐々木 嵩

 

 

 織田信長が徳川家康をもてなした「おちつき膳」室町時代に成立した武家の儀式料理「本膳料理」の形式をとる。 左下隅が鶴の汁。胸肉に薄塩を当てて生臭さを取り除き、水から煮たという。膳にはワタリガニやキジの焼き鳥もある。