<戻る

 運動やり過ぎ症候群

 

2012.5.2

運動療法の効果は血糖値を下げること、インスリン抵抗性を少なくする効果があります。運動による消費エネルギー源は運動を始めて数分間は筋肉内のグリコーゲンが使われています。その後2時間まではブドウ糖と脂肪分解による遊離脂肪酸がエネルギー源として使われています。2時間以上の運動となるとブドウ糖は使われなくなり遊離脂肪酸だけが運動のエネルギー源となります。また2時間以上の運動をしていると逆に血糖値を上げるホルモン(カテコールアミン、コーチゾール、グルカゴン)が分泌されて血中ブドウ糖を産生する現象がおこり血糖値が上がってきます。

一般に運動を開始して20分位から血糖降下がおこりますから、一回の運動は30分から40分位が適当です。ところが運動に慣れて熱中してくると、時間に構わずもう少し、もう少しと長時間続けるようになります。またそれに伴って気分も爽快となり、達成感を感じます。「運動やり過ぎ症候群」という病名はありませんが、運動にこだわる特有の感情、症状が出てきます。運動に熱中して一日の運動ノルマをこなさないと気が済まない気分となります。たとえば雨、雪が降っても、風が強くても歩くために外へ出たくなります。都合ができて歩けないと、風邪の発熱で歩けないと、一日中気持ちが落ちつかず歩かなかったことを悔やむようになります。 身体障害をおこすともう運動は有用ではなく、弊害となります。血圧上昇、血糖値上昇、腎臓の働き低下、眼底出血、貧血となることがあります。

1日に必要な運動消費エネルギーは300キロカロリーといわれています。

体重60kgの男性が100キロカロリー消費に要する運動時間は

軽い歩き、体操で30分間、やや強い歩き(速歩)、自転車(平地)、ゴルフで20分間、強い歩き(ジョギング、ランニング)、自転車(坂道)、テニスで10分間です。

これらの運動時間を3倍すると一日必要運動量となりますが、一日に2,3回にわけておこなうようにして下さい。

この記事は平成24512日に開催された「第20回 Let’s 歩こう会」でお話ししたことをまとめたものです

 

戻 る