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糖尿病患者の運転免許証(平成256月道路交通法改訂)

    

      

 2014.2.3

運転に支障が出る病状を持っているのに故意に申告しなかった運転免許取得者に対する罰則が、20136月7日の国会で可決成立しました。ここからの文章は糖尿病患者向け月刊誌「さかえ」に掲載されているものです。「さかえ」を読んでいない人が多いと思い敢えて転載しました。

公安委員会は免許受験者や更新者に運転に支障のある病状を質問することができるようになりました。そして症状があるにも拘わらず虚偽の回答をして免許を取得または更新したものに対しては1年以下の懲役、または30万円以下の罰金を受けることになります。また症状を持っていることを申告して、免許を取り消された場合、3年以内であれば再度受験資格を与えられ学科試験、技能試験は免除されます。

運転に支障の出る病気とは何を指すかを述べます。

1. 認知症 2. 強く眠気を起こす睡眠障害 3. 無自覚性の低血糖症 4. そううつ病 5. 再発性の失神(脳血流障害) 6. てんかん 7. 統合失調症

無自覚低血糖症を起こす糖尿病患者さんが運転免許を申請、あるいは更新する場合の申請者は病気の症状の申告欄に自己申告する必要があります。今回の改正で糖尿病があり低血糖による意識障害があったにも拘わらず「なし」と虚偽の申告した場合は罰則が適用されることになりました。

医師の立場はどうかについても法律で決められています。もし免許申請者が無自覚低血糖を自己申告した場合、公安委員会からの要請を医師は任意で判断してよいとなっています。また公安委員会は専門医の診断結果を待たずに運転免許の効力を暫定的に停止できるようになりました。停止期間は3ヶ月を超えない期間にすることとされました。

たとえ低血糖発作を経験している人でも自分で低血糖を気づき早くにブドウ糖をとって対処できる能力のある人、運転前に糖質摂取して低血糖防止を心得ている人は免許取得になんら問題はありません。ほぼ糖尿病患者さんの運転免許取得、更新は一般の人と変わらず適正試験次第です。

運転する時の注意は@運転前の血糖測定 A車内にブドウ糖やジュースを準備 B入浴後、運動後の運転を避ける C低血糖症状が出たときは必ず停車する D長距離ドライブでは2,3時間毎に血糖測定をする E同乗者がいたら加速などで運転操作がおかしい時は指摘してもらう。

万が一「低血糖の前兆があるのに運転中止せず事故となるとき」、「運転前に血糖自己測定せず低血糖で事故を起こしたとき」などは刑事責任、けが人が出ると民事訴訟が起こり、一時免許停止となります。

余談になりますが、以前に元横綱隆の里関から聞いた話です。東京都内の高速道路運転中に低血糖症状を起こしたが、車内にブドウ糖は勿論甘い物もなにもなかったことがありました。たまたま渋滞で一時停車した時に右車列の車に駆け寄り甘い物を無心して助かったことがあったと聞いています。高速道路上の低血糖では売店もなく、一時停止して追突される危険もあります。皆さんくれぐれもご注意下さい。

 

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